僕の主宰するバンドQYPTHONEは今でこそ海外10ヶ国くらいライブで行ったりしてますが、初めて行った海外ツアーではみんな浮かれて浮かれて。僕なんかずっと地上から5cmほど浮いてましたよ、ドラえもんみたいに。最初に行ったのはNYだったのですが全員もう完全に「おのぼりさん」状態。日本人がカメラ持ってぼぉーっと突っ立ってるという典型的なポーズとかも平気で披露してましたね。しかもメンバー全員で。
その「おのぼりさん状態」は海外ツアー初体験だったからなのかと思いきや、それから色々と各国を回ってみて「それはNYだったから」ということが分かりました。ぶっちゃけ東京って、世界的に見ても大都会中の大都会だから、どこに行っても「まあ東京にはかなわねーな」とか、心のどこかで優越感もあるわけです(横浜在住のお前が何言ってんの?とか言わないように)。Cherie!の歌録音で行ったパリも華やかだったけど、東京も全然負けてないし。
でもなぜかNYだけは空気が別格なんですよね。街の持つ威圧感が段違い。人間の歩幅も顔つきも服装も活気も、すべての面で東京よりも洗練されてる。NYから見れば東京なんて単なる「ちょっとした地方都市」なんですよね。悔しいけど。同時にやっぱり羨望や憧憬もあったりして。
僕の思うそんな「NYへの憧憬」がそのまま映画になったようなのがこの「Dinner Rush」。舞台、登場人物、ストーリー、アートワーク、音楽、全部が僕にとってド真ん中ストライク。ムカつくけどカッコイイ。カッコイイけどムカつく。一番好きで一番嫌いな映画ですよ、フン。