ものを創り出す前にまずどうしてもやらないといけないのは、
「多数決の毒を極力排除する」
ということ。
幼いころから人生のさまざまな場面での選択肢を多数決で選んできた、またそう学んできた僕たちにとって、大人になっても問題意識なく多数決の意義を信じてしまっていることが多い。
それらすべてを強い注意力で洗い出して、制作の前にすべて捨てていく。
これは「少数派を選ぶ」ということではない。
少数派を選ぶ意識は、裏を返せば多数決を気にしているということ。
多数でも少数でもなく、自分の思うとおりに事を進める意思を取り戻してから、ようやく制作にとりかかる。
禅にも通ずる心境でしょうか。
むずかしい!
私がご縁あって勉強させて戴いているクラシックは【再現する芸術】
芸術なんておこがましいですが、
電気もマイクもない時代の音楽です。
何百年も受け継がれ伝えられている作品を
(素人の私は怖いもの知らずで)再生しようと取り組んでいます。
偉大なる作曲家の意思を私なりに読み取ろうと読譜していると、
1小節のなかからおびただしい情報があふれてきます。
それを表現するのは可能性としては無限にあって、
でも自分の技量や経験、楽器としての自分は有限で、
演奏のその瞬間にはヒトツを選び取らざるを得ません。
プレッシャーに負けて思うとおりの表現に全く及ばず、
聴衆の前で無様な自分をさらけ出す事になるかもしれない。
中塚さんのおっしゃる<多数決の毒>とは、
失敗を怖れない心を保ち
常に開拓者であれ!というメッセージかなと想いました。
明日から4月ですね。