日本酒と聞くと「酔っぱらいのオッサンが放つ異臭と同じニオイのするマズい液体」とイメージする人が結構たくさんいますよね。僕も何年か前まではそういう一人だったのですが、湯布院で飲んだ大分の名もない地酒を飲んだ時にそのイメージが吹っ飛びました。香りの高い湧き水のような、何とも言えないフルーティな香りがするものなんだなあ、とね。
幼い頃、母親が面倒がってケチャップをうどんにまぶし「大好きなスパゲティよ」と与えても喜んでツルツル食べていたという輝かしい経歴を持つ僕の舌でさえ即座に判断できるほど、日本酒には天地の差がありますよ。
何が違うのかなあ、と調べてみたら何と驚愕の事実が。本来お米だけで作るはずの日本酒は、生産量を増やすために米ぬかとアルコールで薄めてるんだそうですよ奥様。そりゃ全然違うに決まってる。子供の頃にシャンパンだと思ってやっぱり喜んで飲んでた「シャンメリー」と一緒じゃん。今やお米だけで作った日本酒の方が特殊なので「純米」と書かれて区別されています。
今でいう発泡酒とビールの関係と似たような感じかも。ビールの場合は日本が本場ではないだけに本物のビールが完全駆逐される心配はないけれど、日本酒の場合、日本で本来の作り方を止めたらそれで絶滅ですね。
そんな中で細々と作られている「湧き水のような日本酒」の中でも、もう本当に「水の宝石」という趣なのが新潟の地酒「洗心」。これ以外にも純米大吟で美味しいお酒はたくさんあるけれど「甘露」って言葉はこのお酒が一番似合う、というほどに品位のある香りと喉ごし。
こういうお酒を飲むと、フランスはワインやシャンパンを、ドイツはビールを、UKはスコッチウィスキーを、国が誇りを持って法律で守っていることを日本人として少し羨ましく思えてくるなあ。