今まで国家最高機密だったのですが、僕は年に3回浅草に行くんです。5月に三社祭を遠目で見に行って(ほとんど露店の焼きそばを食べ歩くだけですが)、夏の四万六千日にほうずき市を通り過ぎに行って(買ってもまったく使い途がないからね)、11月には並木藪の新蕎麦を食べに。ていうか他の2回もけっきょく並木藪には立ち寄るんですけどね。
三社祭とかはみんなイナセな格好しててね。僕なんかが着たら似合わないだろうなあ、なんて憧れながら焼きそばを食べ続けて。人でごった返しているにもかかわらず、都心のよどんだ人混みとは空気がまったく違うんですよね。みんな笑顔だからだろうなあ。笑顔だったらどんな人混みでも気持ち良いんだ、なんて考えながらまた違う露店の焼きそばを食べて。
その3回以外でも、レコーディングが早く終わって結構良い仕上がりになって、しかも次の〆切がまだまだ先、なんていう奇跡的な日は、その奇跡を祝うためにやっぱりぶらりと浅草まで足を伸ばします。
普段の日は焼きそばの露店も無いので、まず並木藪で蕎麦をたぐって、浅草寺をお参りしてから蔵前までのんびり歩いて、地下鉄に乗って森下の「みのや」の桜鍋を食べに行ったりしてね。つまりずーっと食べてるわけです。
少し前はビールで桜鍋を小鍋仕立てで、という感じだったのですが、ビールが苦手になった今は専ら日本酒で馬刺しが嬉しくなってます。
「何だかいつも呑気な生活してるなあ」というちょっとした後ろめたさがまたお酒にほんのり苦みを与えて、「まあまあ今日は奇跡のお祝いだから」なんて自分をなぐさめながら肉をつつく。
こういう散歩はぜったいにひとりで行くべきですね。誰とも会話しないからこそ美味い酒もあるから。さすが横浜在住の引きこもり。