両親が商店街のアーケードで総菜店を営んでいたこともあって、どうやら僕は幼いころから「商い人のお祭り感覚」のようなものを肌で感じる機会に恵まれていたようです。「音楽一家」とかだったらカッコイイもんなのですが、植田まさし4コママンガばりの「おっちょこちょい天ぷら屋一家」だったので、大人になってからも賑やか好きでオメデタイ性分は変わらないようです。たぶん血なんですね。まさに脳天気のサラブレッド、脳の晴れ男。作る曲もいまだに「少しは落ち着けよ」と言われるバカ騒ぎっぷりが薄まりません。単に脳の腫れた男だったりして。
で、大晦日とかになると親戚などの手も借りて、年越しそば用の天ぷらを「かき入れ時」とばかりに売るんですが、幼い僕も売り子として駆り出されるワケです。子供心にドキドキワクワクしたりしてね。もちろんほとんど何の役にも立たないんですが。アーケードもお客さんでごった返していて、店もお客もてんてこ舞いなんですよ。冬なのに汗だくだったり。そういう雰囲気が大好きでね。
で、大晦日までの3日間くらい家族総出で手伝って、大晦日の夜を迎えた時の充実感というか達成感というか、「みんなでやり遂げたね」みたいな空気に家族全員が包まれるんですよ。ちょうど文化祭の後のような雰囲気って感じで。まあ家族だから文化祭につきもののロマンスなどは残念ながら無いのですが。そんなこんなで、ガキのくせにクリスマスよりも大晦日の方が断然好きだったんですね。
今はもう両親とも総菜屋をやめて隠居暮らしをしてますが、僕はと言えば今もそのクセが抜けずに年末が近づくと訳もなくウキウキしたりしてます。意味もなく血が騒ぐんですね。サラブレッドだから。年末の僕が妙に上機嫌で時々「ヒヒーン」と叫んでいたらそのせいだと思って下さい。別に脳が腫れてる訳ではないです。