12. 虹を見たかい (from 7th Album『Lyrics』)

-

昨年リリースのアルバム『Lyrics』収録の楽曲。
須永辰緒さんの助言とオレンジレコーズ&グルーヴあんちゃんの協力のもと、アナログ7inchカットも実現しました。画像は石垣健太郎デザインの7インチジャケです。
18パートの多重録音ホーンセクションに、打ち込みのドラムと波形編集した声サンプルを重ねて、生演奏とは毛色の違った触感を求めました。
音程のある上モノは極力ピアノとコーラスだけにとどめ、歌詞が耳に飛び込みやすくしました。
僕の実家は横浜の下町のアーケードの惣菜屋で、幼いころはいわゆる商店街の喧噪のなかで育ちました。
幼心に、働くオトナたちもどこかおめでたいというか、「未来はどんどん幸せになる」という根拠のない楽観や、浮かれぎみな活気に社会全体が包まれていた気がします。
あのころ読んでいたマンガや絵とき図鑑も、バラ色のような21世紀を軒並み描いていました。
本当だったら今ごろ、みんな全身タイツみたいな服を着てチューブのようなパイプラインで、まるで冬季オリンピック競技のスケルトンのように移動しているはずでした。
それが今では、いつの間にかどんよりとした無力感や虚無感が社会を覆うようになって、浮かれた気分でいようものなら文字通り社会から浮いてしまうような空気すらあります。僕が大人になったからなのか、時代の流れなのかは分かりません。
そんな空気の今だからなおのこと、僕自身は「おめでたいオトナ」であり続けたい!という思いで作ったこの曲は、いわば、
「浮かれたオトナ讃歌」
「おめでたいオトナ讃歌」
です。
・・・まあ何も曲まで作らなくても、こんな職業を選んでる時点で十分おめでたいんですけどね。
実はこのオケは元々とある楽曲のトラックだったのですが、このオケを元にさらに新しいメロディを作って、あらためて歌をレコーディングしたのです。
これまでの解説をお読みくださっている方はピンと来たかもしれませんが、両曲のサビのメロディの一部に大きな共通点が残っていますので、ぜひ探してみてください。
今度ライヴで両曲をマッシュアップ演奏してみようかな。