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【ライヴレポート】プレミアムワンマンライヴ@白金「テラッツァ白金 ビストロ&ボッテガ」


7月にスタートした中塚武のプレミアムワンマンツアー。その第5弾となるライヴが白金のレストラン「テラッツァ白金 ビストロ&ボッテガ」で開催された。

クリスマスムードに包まれる12月。プラチナ通りにもイルミネーションが灯されていた。
店自慢のイタリアンブッフェとワインを楽しみながら開演を待ちわびる観客の前に現れたのは、石垣健太郎(ギター)、石川周之介(サックス&フルート)、そして中塚と、おなじみのメンバー。石垣はサンタクロースを思わせるような真っ赤なシャツを着て登場して会場を沸かせた。


オープニングからいきなり「恋人がサンタクロース」のカバーでスタートし、会場は一気にパーティムードに。
今回は、中塚の粋な計らいで、満員の観客全員に“鈴”がプレゼントされるサプライズがあり、続く「Your Voice」では観客も鈴を手に手に演奏に参加。
会場が一体となって作り上げていくような感覚はまさにライヴならではの醍醐味。シャンシャンと心地いいリズムを刻む総勢50個の鈴の音がなんとも温かく、会場はハッピーな空気に包まれていく。


その後も、ルーパーを駆使した「トキノキセキ」「冷たい情熱」、中塚自身が歌詞への思いを語り情感こめて歌い上げた「月を見上げてた」など、次々とオリジナルナンバーを披露。ほんのり甘い中塚の歌声が会場を魅了した。

「It’s Your World」で1stステージを終え、デザートタイムの休憩をはさんで2ndステージへと突入する。


2nd.ステージのスタートは「TAKESHI LAB」で無料配信中のナンバー、クリスマスソングのスタンダード「I Saw Mommy Kissing Santa Claus」をトリオヴァージョンで披露。
このラヴリーなクリスマスソングは、無料配信とはまったく別アレンジのバージョンで今回の“おみやCD”に収録され、観客にとっては最高に嬉しいクリスマスギフトとなった。

その後はいよいよプレミアムワンマン恒例「リクエストコーナー」を展開。
毎回予想だにしない曲が飛び出し、観客はもちろん中塚自身やバンドメンバーにもドキドキの時間なのだが、今回も意外なリクエストが次々と演奏された。


1曲目に引き当てたのは、なんと「関白宣言」。そう、さだまさしのあの名曲。会場からは思わず笑いがこぼれる。
クリスマスの白金のイタリアンレストランで「関白宣言」という、ある意味非常にレアなシチュエーションであったが、アコースティックギターの音色と中塚の語りかけるようなやさしい歌声で、歌詞がぐっと胸に響く。会場からはすすり泣く声も漏れていた。


次に石垣が引き当てたリクエスト曲は、エルトン・ジョン「Step Into Christmas」。ノリの良いクリスマスソングに、観客も大勢の鈴でリズムを刻みながら応え、賑やかに歌い上げていく。

そして、ライヴで演奏するのは初という中塚のオリジナル「Calling Your Name」へと続き、リクエストのラストは、まさかのMisia「Everything」まで飛び出すというサプライズの連続。
オリジナルよりややアップテンポにアレンジされた「Everything」は、まるで中塚の持ち歌かのように馴染み、心地よく聴かせてくれる。歌詞を完璧に身体に染みこませて歌い上げた中塚に大きな拍手が沸き起こった。

そして続けざまに、観客全員による鈴の大合奏で「Make Her Mine」を演奏。この夜最高の盛り上がりのうちにライヴ本編を終えた。


アンコールでは、リクエストボックスから中塚のオリジナル曲「The Sweetest Time」を引き当てる。原曲はヴォーカルに岡田響子をフィーチャーしていたが、今回初めて中塚の歌声で披露し、白金のクリスマスを彩りながらプレミアムワンマンライヴを締めくくった。

今回演奏されなかったリクエスト曲にはまだまだ意外な楽曲が多数あったようで、「演奏できなかった曲もいつかやりたいね」という言葉を残した中塚。
東京タワー内で行われる来年1月のプレミアムワンマン、そして2月のバレンタインスペシャルライヴも大いに期待したい。

(text by 川崎圭子 / photos by 菊池陽一郎)

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【ライヴレポート】『Disney piano jazz “HAPPINESS” Deluxe Edition』リリースライヴ@Apple Store表参道

11月12日にリリースされた『Disney piano jazz “HAPPINESS” Deluxe Edition』のリリースライヴが、Apple Store表参道にてリリース当日の夜に行われました。
キャラクターになりきって本番にのぞむ「ミッキー中塚と7人の大人」の面々。

「ミッキー中塚と7人の大人」
なんと、Apple Storeにグランドピアノを搬入して行われるライヴは世界初!
まさにスペシャルな一夜を味わうため、開演前から会場は観客でギッシリ。中塚武の登場を待ちわびます。

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アルバム1曲目に収録の「小さな世界」でライヴがいよいよスタート。
この日はグランドピアノ、ドラム、ウッドベース、ギター、ホーン隊と、これもまたApple Store史上最も大きなアンサンブル(!)での演奏です。
中南米に迷い込んだ「ふしぎの国のアリス」や、マッチョにアレンジされた「くまのプーさん」など、誰もが知っているディズニーの名曲を次々に披露。

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きらびやかなジャズアンサンブルの音色に導かれ、Apple Storeの前を通り過ぎようとしていた人たちが、次々とお店の中に吸い込まれてきます。
すでにApple Storeは内も外もパンパン状態!

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後半は、自らの楽曲「冷たい情熱」に続き、中塚の歌う「星に願いを」と「Countdown to the End of Time」を当夜だけのマッシュアップ!
畳みかけるように「ハイ・ホー」から「レット・イット・ゴー」まで続き、ライヴは最高潮に!

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会場には子供から大人まで、会場に入りきらないほど多くのお客さまが足を運んでくださいました。
お越しいただいた皆さま、本当にありがとうございました!

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ということで、最高にハッピーな夜に、メンバー全員で乾杯です!
アルバムも是非、聴いてみてくださいね☆

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【ライヴレポート】プレミアムワンマンライヴ@鎌倉「GARDEN HOUSE」

GARDEN HOUSE
10月と言えば本来なら気持ちのいい季節なのだが、あいにくこの日は首都圏に台風が接近するという荒天に見舞われた。
そんな中、第4回となる「プレミアムワンマンライヴ」が、鎌倉のショップ&レストラン「GARDEN HOUSE」で決行された。
午後から夜にかけて雨が強まり、東京からわざわざ来られるお客さま方の足元を楽屋でひたすら心配していた中塚武。しかし、彼の心配をよそに、会場はすでに開演を待ちながら食事を楽しむ多くのオーディエンスで満員となっていた。

予定通りの開演時間。ギターの石垣健太郎とサックス&フルートの石川周之介に続いて中塚が登場。
趣がある古いアトリエをリノベーションして作られたウッディな空間。緑に囲まれたガーデンを背に3人が並ぶ。
広い窓の外には暗闇が広がり、テーブルに灯されたキャンドルの灯りが温かな空気をつくり出していた。

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1stステージ。挨拶代わりのオープニングナンバー「冷たい情熱」を歌い終えたあと、中塚は感極まった表情で切り出した。
「こんな天気のなか足を運んでいただいて本当に感謝感激です。全身全霊を振り絞って、かならず素敵な夜にしようと思います!」
間髪入れず、会場からは大きな拍手が湧き起こった。

MCのあと「涙に濡れた夢のかけら」から「虹をみたかい」をメドレーで披露。4ビートの軽やかなリズムと心地いい歌声がリラックスムードを作っていく。

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続く曲は、現在「TAKESHI LAB」で無料配信中の「あの日、あのとき」。
中塚は、歌詞にふれて、クラブDJ全盛の時代に、周囲の反対を押し切ってフィーチャリングをやめ、自分自身で歌い始めたのが転機になったこと。その当時から支えて続けてくれたメンバーやファンへの感謝を込めて書いた曲だと紹介した。
やわらかに響く音と歌声に包まれながら、1人1人がじっと耳を傾けている様子が印象的だった。

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「プレミアムワンマンライヴ」では、毎回、ライヴのためだけに収録された「おみやCD」が来場者全員にプレゼントされる。今回セレクトされたのは、鎌倉にちなんで、中塚が愛して止まないサザンオールスターズの「鎌倉物語」。原由子が歌うバージョンとはひと味もふた味も違った、中塚流のダイナミックなアレンジで耳馴染みのある曲を楽しませてくれた。

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2ndステージでは、「プレミアムワンマンライヴ」恒例となった「リクエストコーナー」に突入。リクエスト曲を引き当てる際には、石川がサックスで、ドラムロールならぬサックスロール(?)で、盛り上げつつ笑いをとる。最初に引き当てたのは、中塚が声優・花澤香菜のために書き下ろした「初恋ノオト」という意外な曲。切ない恋心をしっとりと歌い上げた。

さらに、石垣が引き当てたのが徳永英明のデビュー曲「レイニーブルー」で、会場からは驚きが混じった笑いが起こる。ここでもただのカバーで終わらないのが中塚流。80年代の哀愁のバラードをマイナーラテン調にアレンジし、クールに歌い上げた。

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まるで闇鍋のように何が飛び出すか分からないリクエストコーナー。中でも圧巻だったのが、スティングの「Englishman In New York」。ジャズシンガーにとってのスタンダード曲を、なんと大胆なダブ・アレンジで仕上げてきたのだ。
その場で2台のループエフェクターを使い、カスタネットやサックスの音色、ボイスパーカッションを次々と重ねていき、ディレイを効かせて一気にダブ・ワールドへと誘った。

本編ラストの「すばらしき世界」直後から鳴り止まない拍手と共に、アンコールではリクエスト曲からピックアップされた「Your Voice」を初の中塚ヴォーカルバージョンで歌いあげ、大きな多幸感に包まれたエンディングを迎えた。

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1stステージだけでもまるまる1回分のライヴに相当する曲数を披露したうえに、2ndステージのリクエスト曲もいつも以上の曲数を演奏した今回のプレミアムワンマンライヴ。
多忙な3人がこれだけ完成度の高いライヴを魅せてくれることは、中塚ファンならずとも音楽ファンにはたまらない幸せだ。
外の嵐のせいか、いつも以上にアーティストとファンとの親密さを感じられる、これ以上ない特別な時間だった。

今年最後のプレミアムワンマンライヴとなる次回は白金でのクリスマススペシャル。この日も贅沢な夜になるに違いない。

(text:川崎圭子)

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【ライヴレポート】プレミアムワンマンライヴ@下北沢「モナレコード」ライヴレポート


毎月1回、会場を変え、演奏スタイルを変えて行う中塚武のプレミアムワンマンライヴ。銀座、谷中に続く第3弾は、若者が行き交うサブカルチャーの発信地、下北沢で開催された。


中塚がモナレコードを会場に選んだのは理由があった。モナレコード店長の行(ゆき)氏は、中塚主宰のバンド「QYPTHONE」デビュー時から大々的なプロモーションを仕掛けてくれた人物でもある。中塚いわく「僕の音楽人生の恩人」。ソロデビュー11年目を迎え、原点回帰の意味も込めたプレミアムワンマンライヴをこの場所で開催できることは、中塚本人ばかりでなく、ライヴを楽しみに集まった観客にとっても貴重な体験となった。


今回は、前回メンバーの石垣健太郎(ギター)、石川周之介(サックス&フルート)に加えて、鈴木郁(ドラム)と寺尾陽介(ベース)が入った5人編成。息のあったド迫力のアンサンブルが会場に鳴り響いた。

オープニング曲「Johnny Murphy」を幕開けに、ルーパーを使ってハーモニーを構築してゆく「On and On」、ライヴでは初披露となった「Stars In Your Eyes」と、心地いいミディアムテンポのナンバーを軽やかに歌い上げていく。お酒を飲みつつリズムに身体を任せながらリラックスした雰囲気で楽しめるのも、プレミアムワンマンライヴならではの醍醐味だ。


毎回ライヴごとに用意され、観客に持ち帰ってもらう「おみやCD」に収録された「Countdown to the End of Time」から間髪を入れずに「It’s Your World」へと流れる疾走感あふれるメドレーに、会場も一気にヒートアップ。熱気に包まれたなかで前半戦を終えた。

「おみやCD」は、今回の5人のメンバーによって新たに録音された希少な1枚。「すごくいいものに仕上がったので配信しようかという話もあったんですけど、やっぱり今日この場に来てくれた人だけのプレゼントとして配信はしません。世界に50枚しかない曲です(中塚)」。
これまでの概念を覆すような中塚の音楽に対するアプローチとサービス精神には、いつもワクワクさせられる。


休憩をはさんで後半戦は、前回のライヴで大好評だった「リクエストコーナー」を展開。あらかじめ募ったリクエスト曲をその場でクジ引きして演奏するという、文字通り「プレミアム感」満点の企画。
「気軽な気持ちで思いついたんですけど、めちゃくちゃ大変だと分かりました。みんなハードルの高い曲をリクエストしてくるし、せっかく練習したのにクジが当たらずに演奏しない曲もある(笑)」と、中塚本人はもちろん、演奏するメンバーも、そして観客もドキドキのチャレンジングな企画だ。


リクエストボックスから引き当てた1枚目に書かれていた曲は、鈴木雅之の「ガラス越しに消えた夏」。10年前に鈴木雅之のトリビュート・アルバムでクレモンティーヌと共演したという久々の1曲を、さらりと歌い上げた。

リクエスト2曲目は石垣がクジ引きを担当、ピックアップしたのはRaul Maloの「I Said I Love You」。アルバム『Kiss & Ride』でカバーしている曲ではあるが、「この曲はあまり選んで欲しくなかった(笑)」といわしめる難しいナンバーでもある。そう言いながらもハイテンションで陽気なラテンスカをきっちり演奏し、会場を盛り上げる辺りは流石だ。


アンコールを含め、全11曲を熱演した今回のプレミアムワンマンライヴ。毎回、何が起こるか分からない刺激的な演出は、中塚のライヴを初めて見る人はもちろん、何度も足を運んでいる人にとっても新鮮な魅力あふれるライヴであることは間違いない。

次回10月はいよいよ東京を飛び出して、鎌倉に会場を移して行われる。秋の鎌倉をぶらりとした後のカフェでまた刺激的なライヴを堪能できると思うと、今から楽しみで仕方がない。

(text:川崎圭子)


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【ライヴレポート】プレミアムワンマンライブ@谷中「カヤバ珈琲」

「中塚武 プレミアムワンマンライブ」
2014年8月8日(金)@谷中「カヤバ珈琲」ライブレポート



ソロデビュー11年目を迎えた中塚武が「初心に戻って音楽を届けたい」という思いを込めて企画した『プレミアムワンマンライブ』の第2回となるライブが、上野桜木交差点角の「カバヤ珈琲」で行われた。
今回は、事前に観客から募集したリクエスト曲をなんとくじ引きで演奏するなど、満員御礼の当夜でしか聴けない、まさにプレミアムなライブが繰り広げられた。

いまも下町風情が残る台東区・谷中に、大正時代からたたずむ木造2階建ての長屋。当時の趣をそのままに「カバヤ珈琲」として生まれ変わり、街の憩いの場として親しまれている。
年季の入った建物に足を踏み入れると、昔にタイムスリップしたかのような空間が広がっていた。



入り口に設けられた小さなステージに、石垣健太郎(ギター)、石川周之介(サックス)、そして中塚武が登場するとすぐに、アコースティックギターのやわらかな音色と、ループエフェクトによる幻想的な多重コーラスから始まる「トキノキセキ」で幕開け。つづいて、ジャジーで小気味よいリズムの「涙に濡れた夢のかけら」へと流れ、テンションを徐々にあげていく。

3曲目の「冷たい情熱」を歌い終えたあと、中塚は「プレミアムワンマンライブ」を始めたきっかけについて、こんな話を始めた。

「インターネットやSNSのおかげで、音楽を作る側(アーティスト)と聴く側(ファン)の垣根が取り払われて、対等な立場になってきたように感じているんです。みんなのツイートを見てても、世の中に面白い人ってこんなにいるんだ!って思ったり。僕らは音楽を作っているだけの“音楽屋さん”なんです。八百屋があって、魚屋があって、肉屋があって、音楽屋がある、みたいな(笑)。魚屋さんは肉屋に肉を買いに行き、肉屋さんは魚屋に魚を買いに行くでしょう?その中で、音楽屋が、時々音楽を出して、それをみんなが聴いて気に入ってくれて、僕も他の人がやっている面白いことを一緒に楽しんで……。そういうのって商店街みたいだなって。それをもっとリアルなかたちでやりたと思って、このライブを始めたんです。」

親密さを覚えるような距離感。当日の会場の「カヤバ珈琲」という場所が、そんな中塚のいまの思いをよりリアルに伝えていた。トークの合間には、「もうアーティストじゃなくて良いんじゃない?」と”脱アーティスト宣言”まで飛び出し、会場から大きな笑いが起こるなど、音楽屋・中塚武の心意気を感じるワンシーンだった。



その後、「TAKESHI LAB」から無料配信されたばかりの新曲、「あの日、あのとき」へとつづく。実はプレミアムライブでは来場者全員に毎回、その日のために用意したオリジナルCDを「おみやCD」として持ち帰ってもらうという、なんとも贅沢すぎる特典があるのだ。
今回は「あの日、あのとき」のトリオヴァージョンが収録されていた。これもプレミアムワンマンライブならではのうれしい特典だ。

ライブ前半の〆は、「すばらしき世界」で盛り上がり、休憩をはさんで後半へ。



後半戦は、初の試みとなる「リクエストコーナー」を中心に展開していく。
1回目のライブのときに募ったリクエスト曲をリクエストボックスに入れて、それをなんと無作為にピックアップするという演出に、観客の期待もふくらんでいく。

1曲目に引き当てたのは、『Lyrics』にも収録されたフリッパーズ・ギターの「恋とマシンガン」。
つづいて、中塚お得意のサザンオールスターズのナンバー「みんなのうた」をピックアップ。ここで石川は、サックスをフルートに持ち替え軽やかなサウンドを響かせると、会場も一気にハッピーな空気に包まれていった。
リクエスト3曲目に引き当てた『Kiss & Ride』収録の「Love For Two」を歌い終わると、中塚が思わず叫んだ。
「この企画の緊張感すごいね!プレミアム以外では絶対にやらない!」
「石垣さんも澄ました顔をしてるけど、すごい汗かいてるし(笑)」
まさに彼らの、このライブにかける本気度を感じる、熱いパフォーマンスだった。

本編ラストを「Make Her Mine」で締めくくったあと、大きなアンコールを受けて3人が再び登場。「リクエストもアンコールくじでやってしまえ!」と、リクエストボックスから引き当てた曲、荒井由実「ひこうき雲」を4ビートヴァージョンで歌いあげた。会場を包む歓声と惜しみない拍手のなか、第2回プレミアムワンマンライブは大団円を迎えた。

(text:川崎圭子)


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【ライヴレポート】プレミアムワンマンライヴ@銀座「月のはなれ」



2004年6月にソロデビューアルバム『JOY』をリリースしてから、丸10年。その間に数々のイベント主催や、ビッグバンド(中塚武withイガバンBB)での活動など、幅広く活躍してきた中塚武。ソロデビュー11年目に突入したいま、

「初心に帰って、1年目の気持ちで、またここから始めたい。」

そんな思いから、今月から毎月1回『プレミアムワンマンライヴ』を敢行することになった。

「自分のいまの音楽だけをやるライヴにしたい」と、選ばれた空間は、“カフェ”という、30人も入れば満員となる小規模なスペース。観客1人1人の顔が見え、プレイヤーの息づかいさえも感じられる空間で、11年目の活動をスタートさせた。

第1回の会場は銀座。与謝野晶子もひいきにしていた老舗の画材店が母体の「月光荘サロン 月のはなれ」。天気がよければオープンエアで星が見えるという隠れ家のようなカフェは、プレミアムワンマンライヴのオープニングにふさわしい場所だった。



ライヴの脇を固めるのは、石垣健太郎(ギター)と石川周之介(サックス)のおなじみのメンバーによるトリオ編成。
小雨が降り、蒸し暑い梅雨の夜。幕開けは、ギター1本と歌のループエフェクターで始まる「冷たい情熱」。立て続けに「白い砂のテーマ」へと流れ、会場に心地よい清涼感をもたらしていく。

ベストアルバム『Swinger Song Writer』からは、オリジナルではゴリゴリのエレクトロであった「On and On」をトリオバージョンで披露。ループエフェクターを使ってその場で生声を録音し、何層にもハーモニーを重ねていくという中塚らしい職人技も見せるなど、遊び心たっぷりの演出に観客もぐいぐいと引き込まれていった。

2011年にスタートした、書き下ろしの新曲を無料配信する「TAKESHI LAB」から配信された曲「ふれる」を歌う直前のMCでは、その歌詞に触れて、インターネット社会の恩恵を受けている反面、瞬時に情報が広がっていくスピード感に怖さも感じていると話す中塚。
「肌と肌のふれあいというか、顔を合わせて、同じ空間で同じ空気を吸って。そういうことの大切さを忘れちゃいそうになる。だから今日、皆さんとこんなに近くにいられるこの場所で、すごく歌いたかった曲」とコメント。
温かいギターとやわらかなサックスの音色、そして歌詞に耳を澄ませながら、いまここで、同じ時間を共有していることの幸せを、観客も噛み締めていたのではないだろうか。



15分間の休憩をはさんで、後半戦は、KUWATABANDカバー「スキップビート」から始まりラストの「トキノキセキ」まで怒濤の勢いで、会場のボルテージも最高潮に。全10曲のライヴ終了後も歓声と手拍子が鳴り止まず、予定されていなかったアンコールへと突入していく。

中塚は毎回、ライヴのアンコール曲を事前に用意しないため、この日も観客からの「アグレッシヴな曲を!」とのリクエストに応えるかたちで『Big Band Back Beat』からギル・スコット・ヘロン「It’s Your World」を披露。
ビッグバンド用に高速スウィングアレンジされたはずの曲を、今回はなんとトリオのみで演奏。息のぴったり合った3人による圧巻のパフォーマンスに、会場も大盛り上がりのうちに幕を閉じた。

(text:川崎圭子)

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収録曲解説⑱【〇の∞(ゼロの無限)】

18日間の収録曲解説も今日で最後の曲となりました。
お付き合いいただいた皆さま、本当にありがとうございました!



初のベストアルバム『Swinger Song Writer』のラストを飾るのは、本盤唯一の新曲です。
NHK-Eテレ「サイエンスZERO」テーマ曲として今月から使用されています。

タイトル「◯の∞」は、左から右に、ゼロがまるで細胞分裂のように増殖していくさまを表しました。

ホーンセクションのコンダクトは、昨年一緒にコラボレーションアルバム『Big Band Back Beat』を作ったビッグバンド「イガバンBB」のリーダー、五十嵐誠さん。
五十嵐くんとはかれこれ3年の付き合いになりますが、彼の音楽的才能と人間的魅力に大きな尊敬の念を抱いています。何より一緒にいて楽しいんですよね。
彼との出会いは僕の人生にとっても大きな出来事のひとつです。

そしてストリングスは、この10年間ずっと僕にとって大切な存在であり続けているNAOTOくん。
高い音楽性、音楽への姿勢、すべてにおいて卓越した彼は、フィギュアスケーターのような柔軟性と陸上選手のような強靱さを兼ね備えた、素晴らしい音楽家です。



この曲のテーマはタイトル通り、ゼロから無限大の可能性を育むこと。

素養やバックボーンがゼロのまま、中学3年生に貯めたお小遣いでカシオトーンを買って、ただただ好きで始めた音楽。
学生時代、アマチュア時代、そしてQYPTHONEデビュー後もずっと、自分の思った通りの音楽ができずに枕を濡らす日々が続きました。

そんな僕が10年ものあいだ音楽を続けられたのは、皆さんからの応援はもちろん、自分自身が自分を見捨てずに信じ続けることができたからかな、と思っています。

 現時点ではゼロの才能だとしても、自分には無限の可能性があるはず。
 誰に反対されようと、少なくとも自分だけは可能性を信じてあげたい。

僕自身の信念を込めたこの楽曲で、生涯初のベストアルバムを締めくくりたいと思います。

この10年間本当に温かい応援ありがとうございました。
11年目からもこんな感じのユル〜い調子だとは思いますが、今後とも何卒よろしくお願い致します!

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収録曲解説⑰【北の国から】



ベスト盤収録曲の解説も、残すところあと2曲になりました。本ベスト盤で唯一のカバー曲です。
当初はメーカーとの打合せで「カバー曲は外そう」という話だったのですが、この曲は「カバー」という枠からはあまりにも逸脱しているので、特別に収録する運びとなりました。

僕の音楽的故郷とも言える渋谷オルガンバーには新旧の名物イベントが星の数ほどあるのですが、その中のひとつに「BLUE CAFE」という超老舗イベントがあります。

SMALL CIRCLE OF FRIENDSのアズマさん、三谷昌平さん、鈴木雅尭さんが中心となって、それはそれは最高の雰囲気と選曲を提供するイベントで、僕もQYPTHONEの頃から何かとご一緒させていただいていました。
実は『JOY』1曲目収録の「Café Bleu」はこのイベントのために書いた曲で、SCOFサツキさんも歌う日本語バージョンが存在していることは知る人ぞ知る事実です。

そのイベントの最中に「三谷さんが北海道に引っ越す」という話題が出て、僕とアズマさんがふたりで酔っ払いながら「南から北へ引っ越すから、北の国からをサンバにして『南の国から』にしよう!」などとふざけて騒いでいました。
その夜はいわゆる酔っ払いの戯言で済んでしまったのですが、しぶとい僕は虎視眈々と実現の機会を狙っていました。

それから2年ほど経った、とある日のレコーディングのこと。録音中のスタジオにスタッフが血相を変えて飛び込んで来ました。何かと思えば、なんと隣のスタジオでさだまさしさんが録音中とのこと!
「まさに神の配剤!」とばかりに、まったく面識の無いさださんのスタジオに突撃訪問して直接カヴァーの許諾を得ることができました。さださんはなんと心の広いお人なのでしょうか。
さらに、楽曲リリース後にはなんと、北海道日本ハムファイターズの応援ソングにも選ばれてしまいました。

夜中のクラブでの酔っぱらいDJ達の冗談が、あれよあれよという間に札幌ドームで日ハムファンに大合唱されるまでになるなんて、まさにドラマのような話です。

画像は石垣健太郎によるアナログ12インチのジャケット。
ブラジル感100%、富良野感ゼロ。
こんなしょーもないアイデアをまともに聞いて実現してくれるのは石垣さんだけだわ。

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収録曲解説⑯【Love Wing】



2005年の2nd『Laughin’』収録の楽曲。画像はアナログ12インチのジャケットです。

2000年代は、バンドQYPTHONEがドイツデビューだったこともあって、よくヨーロッパツアーに赴いていました。
ツアー初期、古いお城を借り切って夜じゅうフロア化させるというオーストリアのとんでもないフェスに参加した時の出来事です。

僕らのライヴが終わると次のDJが、メロディも派手な構成もないインストのミニマルハウスを淡々とつなぎ始めました。すごく地味に、けれど丁寧に。
派手なライヴの後だっただけに、オーディエンスは他の盛り上がっている会場を求めて三々五々し、静かになった会場にはストイックな4つ打ちだけが響いていました。
ライヴが終わった僕らも、ホッとしながら乾杯しつつ、オーディエンス同様に他の会場のライヴなどを観に行ったりして過ごしていました。

そして4時間ほど経った朝方。元の会場へ戻るとそこには、フロアに入りきらない大勢のパーティーピーポー達が大盛り上がりで踊りまくる光景が広がっていました。
「あー、さっきの地味なDJから次の人にバトンタッチしたのかな?」
と思いながら会場に入ると、なんとさっきのDJが、4時間前とまったく変わらずに淡々とミニマルハウスを繋ぎつづけているではありませんか!

有名なキラーチューンも、ドラマチックなエフェクトも全く使わず、淡々とストイックに4つ打ちを繋げるだけでこんなにもダイナミックな空間を作り出すのか!と。
この夜が僕のDJの原体験であり、DJにおける唯一かつ最大のモチベーションとなりました。

もちろん帰国後すぐに、その原体験に自分のDJスタイルをアジャスト。
その後のQYPヨーロッパツアーでも必ずライヴ後にDJタイムを設け、最低でも2時間のセットをミニマル中心でストイックに繋ぐことにしました。


そしてその数年後、日本ではキラーチューン中心の一大「誰でもエレクトロDJ」ブームが訪れました。
テクノポップのチャート曲が響き渡るフロアに、少なくとも自分にとっての刺激はすでに存在しませんでした。

僕のDJとしてのモチベーションが終焉を迎えると同時に、あの夜に体験した身震いするようなストイックさは、自分のライヴ演奏によっても表現できることにも気づきました。


今回のベスト盤では、以前DJでよく繋いだ「Love Wing〜北の国から」への大団円を再現すべく、次曲には曲間なしのインテンポで繋げています。

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収録曲解説⑮【Black Screen】



「Magic Colors」「Kiss & Ride」に続く【声の多重録音3部作】の3作目は、SHARP”AQUOS PHONE”のCM曲として制作したこの楽曲です。

声の多重録音の技法はすでに前2作で確立されていたので、この楽曲ではそれ以外の部分を進化させるべく、トラック全体のカットアップをテーマに制作していきました。
複数の曲がまるでパラレルワールドのように同時進行していて、それらを交互にザッピングさせるように音が切り替わっていく、そのようなアレンジを試みました。

音色・音量バランス・エフェクト・パンを1拍ずつガラリと変えて、Ableton LiveのLaunchpadで切り替えたようなカットアップ/マッシュアップ効果を、Launchpadワンタッチではなく作り込んだトラックで実現させました。
かなり時間と根気のいる作業でしたが、作り込んだ分思い通りの効果が得られました。

そう言えばこの楽曲のミックス作業をリアルタイムでUstream配信したのですが、スタジオの声だけをマイクを拾いながらPro Toolsの画面のみを延々5時間ほど放送するという暴挙を敢行。観てくれた皆さんの我慢強さに感謝!

そして完成と同時にiTunes Storeへ登録→即配信するという暴挙第2弾も敢行。制作と試聴の時間的カベを極限まで取り除きました。音楽も食べものも、やっぱり出来たてほやほやが一番新鮮。

今回DVDに収録されているMusic Videoは「On and On」同様にアラキツヨシ氏による作品。
頽廃したモノクロ世界が、次第にカラフルな希望へと移り変わる様子を見事に表現した素晴らしい映像作品なので、ぜひご覧になってみてください。

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収録曲解説⑭【Chérie!】



2004年春の資生堂ピエヌ(現マキアージュ)CM曲として作った楽曲です。

60年代フレンチのツイスト、yéyé(イエイエ)を本場フランスで録音してみようという試みのもとに制作しました。
ファズギター、イナタい8ビート、ベースとギターのユニゾン、このシンプルさでテンションが最高に上がるのですが、yéyéにはほとんど入らないホーンセクションを足して、さらに高揚感を出しました。

リズムセクションの録音は、サザンオールスターズで有名なビクター401スタジオで一発録り。
たった2テイクほど、正味20分ほどで録音できてしまったのですが、ベーシスト美久月千晴さんによる録音後の爆笑トークが長すぎて、結局時間いっぱいまでスタジオから出られませんでした。

歌はフランス在住のボーカリストVanessaとパリでレコーディングしました。
パリのレコーディングエンジニアは予想のはるか上空を行く適当さで、30分ほど遅刻するわ、バックアップを取らずに元データをいじくって元に戻せなくなるわ、「ちょっと休憩」と言って1時間ほど外出するわ、なかなかのナイスガイでした。あの適当な感じは見習いたいなあ。

画像はソロデビューアルバム『JOY』のアナログ盤。須永辰緒さんのレーベルからリリースさせていただきました。
音質最重視の贅沢な2枚組。CDでは達成できなかった音圧がアナログで再現されていて、僕も大好きな1枚です。

実はこの曲、今回の全収録曲中で唯一、僕が楽器をまったく演奏していない曲なのです。
曲調もQYPTHONEとの接点を多く感じ、自分の音楽人生の変遷を象徴しているようで、とても思い出深い1曲です。

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収録曲解説⑬【キミの笑顔】



オルビス「アクアフォース」CM使用曲として、2010年に制作した楽曲。
それまでCM曲は数多く手がけましたが、自分のボーカル曲が使用されたのはこの曲が初めてでした。

この楽曲トラックのテーマは透明感。音数は極力少なめに、歌にも楽器にもエフェクターやプラグインを極力使わず、楽器そのものが持つ音の質感を最大限活かすように意識しました。

弦楽カルテットは天井の高いスタジオで録音。その部屋鳴りの成分を活かして、ノンリバーブでも充分に深みを持たせたマイキングで録音しました。
2コーラス目から登場する3度ハーモニーのフリューゲルホーンは佐々木史郎さん。静けさと存在感を併せもった素晴らしい演奏に、レコーディング時から涙がこぼれそうに。
実はこの曲で最も音量のあるスネアドラムの音は、イコライジングで高音成分を上げるのではなく、かくし味程度に生のハイハットを足すことで存在感を出しました。もちろんリバーブもオフにして、耳のごく近くで聞こえるようにしました。

そのようにして得た一つ一つの音のアタックをさらに粒立ちさせるために、ウラ拍のスネアのタイミングでピアノ、ギター、ベースの余韻をばっさりカットしています。スネアを合図に毎回一瞬の静寂を作って、自然と言葉に耳が向くよう取り計らいました。

こうしてかなり細かい手間をほどこした結果、静かなたたずまいにもかかわらず強いオーラを持った楽曲に仕上がったと思います。
思いのほか存在感が強かったためか、オリジナルアルバムに収録するには他の楽曲となかなか馴染まず、僕名義のアルバムとしては今回がめでたく初収録と相成りました。

この楽曲を収録したコンピレーションのタイトルは、そのものズバリ『歌うピアノ男子』。タイトル案打合せの時、あまりのインパクトゆえにスタッフ全員が一斉に戸惑った顔になったのも、今となっては良い思い出です。

参加していただいたアーティストの面々は、僕が尊敬してやまない人たちばかり。
 川口大輔、古瀬智志、さかいゆう、ナカムラヒロシ(i-dep)
 ミトカツユキ、森大介、矢舟テツロー、渡和久(風味堂)
この編纂を機に親交が深まった方々も多く、その意味でも思い出深い1枚になりました。

続編のアイデアとして「歌うギター女子」「海の向こうのピアノ男子」「ビッグバンド女子」などもあるのですが…やっぱりタイトル戸惑います?

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収録曲解説⑫【虹を見たかい】



昨年リリースのアルバム『Lyrics』収録の楽曲。
須永辰緒さんの助言とオレンジレコーズ&グルーヴあんちゃんの協力のもと、アナログ7inchカットも実現しました。画像は石垣健太郎デザインの7インチジャケです。

18パートの多重録音ホーンセクションに、打ち込みのドラムと波形編集した声サンプルを重ねて、生演奏とは毛色の違った触感を求めました。
音程のある上モノは極力ピアノとコーラスだけにとどめ、歌詞が耳に飛び込みやすくしました。



僕の実家はいわゆる下町のアーケードの惣菜屋で、幼いころはいわゆる商店街の喧噪のなかで育ちました。
幼心に、働く大人たちもどこかおめでたいというか、なぜか「未来はどんどん幸せになる」という根拠のない楽観や、浮かれぎみな活気に社会全体が包まれていた気がします。

あのころ読んでいたマンガや絵とき図鑑も、バラ色のような21世紀を軒並み描いていました。
今ごろはみんな全身タイツみたいな服を着て、チューブのようなパイプラインで、まるで冬季オリンピック競技のスケルトンのように移動しているはずでした。

それがいつの間にか、どんよりとした無力感や虚無感が社会を覆うようになって、浮かれた気分でいようものなら、文字通り浮いてしまうような雰囲気もあります。僕が大人になったからなのか、時代の流れなのかは分かりません。

そんな空気の今だから、尚のこと「おめでたいオトナ」であり続けたい!という思いで作ったこの曲は、いわば「浮かれたオトナ讃歌」「おめでたいオトナ讃歌」です。



実はこのオケは元々とある楽曲のトラックだったのですが、このオケを元にさらに新しいメロディを作って、あらためて歌をレコーディングしたのです。
これまでの解説をお読みくださっている方はピンと来たかもしれませんが、サビのメロディの一部に大きな共通点が残っていますので、ぜひ探してみてください。

今度ライヴで両曲をマッシュアップ演奏してみようかな。

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収録曲解説⑪【Aguas de Agosto】



僕がまだソロデビューする前の1999年、コンタクトレンズ「2weekアキュビュー」CM曲として作った楽曲。
「中塚武」名義の楽曲ではないのですが、特に思い入れの強い楽曲なので、今回のベスト盤にはボーナストラック的な意味を込めて収録しました。

CMオンエア直後に数千件の問い合わせがあり、会社の電話が鳴り止まなかったらしいです。ネットが普及していない時代ならではのエピソード。そういえばこの曲すでに15年前なのか!ひえぇ…。

それを受けて「Delicatessen mixture」という覆面名義でシングルを緊急リリースする運びとなりました。
このアーティスト名はレコード会社のA&Rが決めたのですが、当時も今も
「うーん…ダサいかも」と思い続けているのはここだけの話です。

当時はビッグビートが世界を席巻していましたが、「ビッグビートの手法でジャズボッサを作ってみる」という実験を試みたのがこの楽曲です。
なので、歌・ピアノ・フルートソロ以外はすべてサンプリングで構築してみました。

歌はヴァース(Aメロ)部分しか録音しておらず、Aメロで録音した幾つかのフェイクをすべて音節で切って、コーラス(Bメロ)部分のコードに合わせて再構築しました。なのでコーラスのメロディは、実はもともと歌っていなかったメロディなのです。

ボーカルはdNessa。彼女とはこの曲を機に『JOY』『Laughin’』などで何曲も一緒に作っていくことになりました。もうアメリカに帰国してしまいましたが、今でも僕の大切な音楽的盟友です。

カップリングには僕の尊敬する先輩、須永辰緒さん、松田岳二さんにリミックスをお願いしました。僕の音楽人生に大きな影響をもたらした辰緒さんとの出会いはこの楽曲がきっかけでした。

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収録曲解説⑩【SEXY VOICE AND ROBO】



2007年春の日テレドラマ「セクシーボイスアンドロボ」のメインテーマ曲として作った楽曲で、僕にとって初めてのドラマ音楽でした。

そもそもサントラ愛好家のうえに、幼少時代は「探偵物語」「熱中時代」などの日テレドラマで育った僕の血がふつふつと湧き上がり、超ハイテンションのまま全21曲を書き上げました。

今回収録のメインテーマ曲レコーディングも、僕自身の考えうる最強の布陣で臨みました。

 トランペット:佐々木史郎さん、佐久間勲さん、黄”koo”啓傑さん。
 トロンボーン:河合わかばさん、佐野聡さん、内田光昭さん。
 サックス:吉田治さん、勝田一樹さん。
 ストリングス:NAOTOストリングス。
 パーカッション:MATAROさん。
 ウッドベース:竹下欣伸さん。

書いているだけで身震いするような超豪華メンバーに支えられて、僕にとっても生涯忘れることのない大切な作品が完成しました。
今回の収録はメインテーマ曲ですが、ぜひサントラ盤も聴いていただきたい!

ドラマそのものの視聴率は残念ながら奮わなかったのですが、木皿泉脚本の素晴らしさ、佐藤東弥監督のマニアックな演出、本作がドラマ初主演の松山ケンイチさん・大後寿々花さんの熱演が心に焼きつく素晴らしい作品でした。

それだけにこのドラマの熱狂的ファンは多く、サントラ全曲の使用箇所や深読み解説なども、ネットで展開されていたりして驚きました。
しかも、僕が仕掛けた音楽的トラップなどがすべて解読されていたりして、その深い観察力に嬉しくなったものでした。作り手というのは、正解誤解問わず、作品を深読みしてくれることを非常に喜ぶ人種なのです。

アートワークをお願いしたのは古くからの友人カイシトモヤくん。原作マンガを大胆にフィーチャーしたジャケットデザインは最高にテンションが上がりました。オトナの事情がらみで使用許諾が下りるまでは二人ともハラハラだったのは内緒です。

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収録曲解説⑨【On and On】



ファッションブランド『5351 POUR LES HOMMES』チーフデザイナー岡本剛二氏、アートクリエイターのアラキツヨシ氏、僕の3人でのコラボレーションで2010年に生まれた楽曲。彼ら2人との作業は本当に刺激的な体験でした。

この曲のメロディには、実は当初まったく別のテンポとキーでアレンジが完成しており、すでに歌録音も済ませていました。
しかし、3人コラボでの世界観が見えてくるにつれて新しいアイデアが次々に沸き、こうなったら以前のトラックをごっそり差し替えてしまおうと決断。作曲途中にもかかわらず一度リミックスすることにしました。

元のメロディのコード進行をまったく考慮に入れずに作った新しいトラックに、録音済みの歌トラックを半ば強制的に乗せてみたところ、なんともいえぬ不思議な浮遊感が得られました。
新しいトラックとメロディはBPMが全然合っていなかったのですが、タイムストレッチをあえて使わず、各音の頭だけを拍に合わせて、声の余韻をそのままブチブチッとカットしたところ、この曲の独特なボーカルの質感を生み出すことに成功しました。

これまでの「安定した曲作り」の方法をことごとく無視したこの曲の作り方は、まさにコラボでのコンセプト「既存の常識を疑い、陳腐な常識を壊す」を象徴したものとなりました。本当に完成できるかちょっぴりビビってましたけどw

Music Videoはもちろんアラキくんが制作。独特な質感の背景にコラボメンバー全員が出演するCGアニメは今回のDVDにも同梱されています。
アラキくんとはこれ以降も僕のイベントで、メインVJとして毎回最高のパフォーマンスを披露してくれています。

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収録曲解説⑧【The Sweetest Time】



ニッポン放送インターネットラジオ「Suono Dolce」にて、2007年10月から5年間「TOKYO AFTER 6」という番組のナビゲーターを担当していました。

毎週生放送で3時間、映像つきでの番組ナビゲーター経験は本当に貴重なものでした。音楽制作と同じ本気度で毎週臨んでいたので、生放送から帰宅すると毎回グッタリしてベッドに倒れ込んでいました。あ、もちろん晩酌の後にですが。
5年間ということは、僕のソロ活動の半分がSuono Dolceで占められているのですが、ここで得た経験や仲間は、今でも僕にとって大きな宝物になっています。

その番組企画として、「丸の内ロール」というロールケーキに特典CDを付けて丸の内で限定販売しよう!というプロジェクトがあって、この「The Sweetest Time」はこの企画のために書き下ろした楽曲でした。

歌をお願いしたのは盟友、内藤響子さん。
【作詞/作曲1日 + 編曲1日 + 歌録音/ TD1日=合計3日間で2曲完パケ】
という超強行スケジュールの中、打合せはおろかキー合わせもしていない楽曲を、響子ちゃんはぶっつけ本番で見事にレコーディングしてくれました。響子ちゃんやっぱりスゴイなあ。

響子ちゃんボーカルの楽曲は他にも「Melody Fair」「素顔のままで」(ともに2nd Album『Laughin’収録』)があります。
レアなところでは、NEWS ZEROの「ゼーロ〜ォ」コーラスが彼女と僕の多重録音だったりもします。

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収録曲解説⑦【Girls & Boys】



2006年のアルバム『GIRLS & BOYS』1曲目収録のタイトルチューンです。

速いBPMのビートにゴリゴリのウッドベースとホーンセクションを乗せたややタイトめなリズムセクション。その上にシンセをいくつも散りばめてパンニングで遊び、常に何かしらの音が飛び交っているようなトラックを作りました。

こういうトラックって、ローファイなフレーズサンプリングをひとつ加えただけで即座にサマになってしまうのですが、その手法を採らずに、あえてシンセと生音のみを組み合わせることで、独特の面白い質感を出せました。

8年前の当時は百花繚乱のフィーチャリングボーカル全盛期。僕も周囲からは、いわゆるトラックメイカー/プロデューサーとしての役割を求められていました。
当の僕自身といえば、そもそも他人のプロデューサーになるつもりはまったく無く、前2作『JOY』『Laughin’』でトラックメイカーとしてやりたいことはほぼやり尽くし、次のレベルに進みたくて仕方ありませんでした。
また、話題性やキャスティング重視のようなフィーチャリング方式にも辟易していました。

このアルバムは僕なりの「フィーチャリング訣別宣言」であり、自分名義の曲くらい自分で歌おうと、ごく当たり前のことを本格的に決意したのもこのアルバムからでした。
時代的にも多くの高いハードルがありましたが、当時の流行の波に安易に乗らなかったことで、自分の作りたい音楽をハッキリと見極められるようになりました。

孤独を経て完成にこぎつけた作品にはある種の強靱さが生まれることも、この作品の制作を通じて感じ取ることができました。

そう言えばこの曲は「ライヴで盛り上がりたいなあ」と思いながら作ったにも関わらず、これまでライヴでほとんど演奏していないことに今さら気づきました。近いうちライヴでも演ろうかな。

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収録曲解説⑥【Magic Colors】



資生堂ピエヌ(現マキアージュ)2005春のCM曲として制作した楽曲。

前年(「Cherie!」使用)から担当していたこともあって、CMではかなり珍しいことなのですが、先方からは「中塚くんの好きに作ってもらって良い」と言われて作り始めました。
僕は「好きに作って良い」と言われると本当に好き勝手に作ってしまうので、作った後に「やり過ぎです…」と困惑顔で戻されることが多いのですが、そこはさすが資生堂、大きな度量で受け止めてもらえました。

自分の声を10声重ねて子音のアタックを揃え、余韻をばっさりカットしていくことで特殊な効果を得るこの手法は、その後「Kiss & Ride」「Black Screen」でさらに発展させましたが、もともとはこの曲で最初に試みました。
9年前に手作業でこれを作った時は我ながら「大発見!」と一人ほくそ笑んだものでしたが、今ではDTMの進歩もあって、ボーカルプロセッサーやグリッチなどのプラグインで簡単に再現できてしまい、内心「ナヌ〜!?」という心境でいっぱいなのはここだけの話です。

オケトラックは、アコースティックギターを2本録音して、それもやはり余韻を16分音符でカット。それぞれにリバースや軽いモジュレーションをかけてクリックハウス的なアプローチに。
「Db△9」ワンコードのような進行ですが、3拍目のベースを第一転回にすることで「Fm7(b13)」とのツーコード進行に聞こえさせています。

先日教えてもらったのですが、現在はTBS「内村のざわつく夜」のオープニングテーマとして使用されています。
9年前に好き勝手に作った曲が、9年後の今になってゴールデンタイムのTV番組から流れるのも感慨深いなあ〜…と思いつつも、ひと声かけてくれれば新曲すぐ書くのになあ〜(好き勝手に)…とも思ったりしています。

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収録曲解説⑤【冷たい情熱】



アルバムでの発表は昨年の『Lyrics』ですが、曲そのものは2011年秋にホームページ無料配信TAKESHI LABで発表していました。僕の曲作りの大きな転機になった楽曲です。

リズムパターンやジャンルはもちろん、キーや拍にも囚われずに頭の中のイメージをそのまま音にするという試みを、初めて実践できたと思えた楽曲でした。
イメージに正直に作ってみたら思いっきり変拍子になってしまいました。僕の性格はどこまで歪んでいるのでしょうか。

歌詞でも大きな試みをしています。普段の生活では目を背けがちな「自分ってこれからどうなるんだろう?」という漠然とした不安を、漢文訓読的な筆致の日本語で書いてみました。
こういう曲調にこの日本語詞を乗せることで、これからの日本語曲のありようを自分なりにつかみ取ることができました。

ホーンセクションは、トランペット佐々木史郎さん、サックス本田雅人さん、トロンボーン清岡太郎さん。
史郎さんは僕のレコーディング作品では欠かすことのできない大切な方で、ホーンアレンジをする前に、まず史郎さんのスケジュールを押さえられるかでアレンジの方針が左右されるほどの最重要人物のひとりです。
この「冷たい情熱」も、史郎さんと出会わなければ生まれなかった多くの楽曲のひとつです。

今回DVDとして同梱されるMusic Videoを制作したのは杉江宏憲さん。
杉江さんがNEWS ZEROのビジュアルデザインを手がけていたことをTwitterで知り、そのままTwitter経由で意気投合して良き飲み仲間になってしまいました。SNSってすごいなあ。

完成した動画は、さすが天才としか言いようのない仕上がり。
MV公開直後にオーストリアの芸術祭アルス・エレクトロニカから突然連絡があり、なんと招待作品としてエントリーされてしまいました。杉江さん恐るべし。
ぜひ今回のDVDで堪能していただければと思います。

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収録曲解説④【Café Bleu(with Clementine)】



2004年のソロデビューアルバム『JOY』の1曲目は、それまで何度か一緒に制作活動をしていたクレモンティーヌとともに作ったこの曲でした。

それまでにも彼女のアルバムでフランシスレイの「男と女(Un homme et une femme)」カヴァー、鈴木雅之さんトリビュートアルバム「ガラス越しに消えた夏」での彼女とcobaさんとの3者コラボなどを制作していましたが、僕の名義ではこの曲が初めてのコラボ録音となりました。

その後も彼女のアルバムに僕が参加したり、彼女の娘さんの制作を手伝ったりと、何かと一緒に制作していたのですが、すべて東京⇔パリ間でのデータのやりとりだけだったので、実は直接お会いしたのはこの曲から3年後でした。
お互い会ったこともないまま何曲も遠距離作曲してたなんて、文通みたいでちょっとイイ感じ。

ホーンセクションは、フリューゲルホーン数原晋さん、サックス平原まことさん、トロンボーンFred Simmonsという超大御所のお歴々。よく物怖じしなかったものだと、当時の生意気な自分の頭を小突いてやりたいです。

数原さんが僕のアレンジを気に入ってレコーディング中の空気を柔らかくしてくださったことが、この曲全体の雰囲気を作ったと言っても過言ではありません。ソロデビュー1曲目を彼らの演奏で飾れた僕は幸せ者です。

『JOY』のジャケットは2種類あって、左が代々木公園で撮影した初回盤、右が横浜赤レンガ倉庫で撮影した増刷盤です。ハマっ子の僕としては赤レンガ盤の方が思い入れがあるかな。
ちなみに増刷盤で弾いているオルガンは、スタンド付き(!)のKORG初代BX-3です。

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収録曲解説③【Countdown to the End of Time】



この楽曲を収録した2010年のアルバム『Rock’n’Roll Circus』は、初めて僕がゲストをまったく招聘せずに作った作品で、自分自身の思い入れも相当に強いものがあります。

ファッションブランド『5351 POUR LES HOMMES』チーフデザイナー岡本剛二氏・アートクリエイターのアラキツヨシ氏・僕の3人で「完全にメディアミックスしたコラボをしてみよう」と意気投合して制作したこのアルバムは、従来とまったく異なる方法で制作しました。

いわゆる「1曲単位でのラフスケッチ」をまったく作らずに、思いついた楽想のかけらをとにかく片っ端から録音して、それらをアドリブ的に組み合わせて1コーラス分のシーケンスを作成。この段階まで作って初めてメロディを乗せる、という手法を採りました。

化学反応やセレンディピティを求めたこの制作方法は、自分が思いもよらない音楽に仕上がって本当に刺激的でした。
この方法によって、まるでアルバム全体が1曲であるかのような、不思議な統一感のある作品を生み出すことができました。スタジオ代が半端なかったですが…汗。

アルバム1曲目を飾ったこの楽曲も、最終着地地点がどこになるか分からないまま、とにかくBPMとキーだけを決めて7管編成のホーンフレーズを録音してしまい、レコーディング後に大きくカット&エディットを施しています。
なので、最終的なフレーズはレコーディング時に演奏したものから大きく変化しました。

副田整歩さんのサックスソロには”SupaTrigga”というプラグインをかけて再編集し、強烈な効果を生み出しています。
曲の完成後、副田くんに「せっかく吹いていただいたソロ、こんなにしちゃいました…」と恐る恐る白状すると「めちゃくちゃカッコイイ!」と喜んでもらえたので、ホッと胸をなで下ろしたものでした。

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収録曲解説②【Your Voice(sings with 土岐麻子)】



QYPTHONEデビュー当時から仲良しだった土岐麻子嬢とコラボした2006年の楽曲。

子どもの頃に大好きだった「We Are The World」メイキングビデオを観て一番驚いたのは、まず最初に歌やコーラスを録音して、その後にミュージシャンがバッキングを演奏していたことでした。
子どもごころに「えっ、順序が逆じゃん!?」と戸惑ったと同時に、レコーディングの最終段階で、冒頭イントロにシンセが「キラキラ…→ドーン!」と入った時の鮮烈さもいまだに憶えています。

音楽家になってからはその制作順序も普通の手段のひとつになりましたが、この「Your Voice」では、その手法を積極的に使ってみようと制作に臨みました。

もちろん僕の頭の中の完成イメージは出来ているのですが、土岐ちゃんに歌ってもらう際のヘッドアレンジは、ピアノとシンセベースと薄っぺらいリズムだけで、当時の土岐ちゃんのマネージャーさんに「えっと…こういうアレンジの曲なのですか…?」と真顔で訊かれ、焦って説明した憶えがあります。

すべての音楽家がそうだと思いますが、僕も曲を作るときには「10年経っても古いと思われない、みずみずしいままの楽曲」を目指しています。
7年の時を経た昨年になって、この曲がアニメ「きんいろモザイク」のエンディングテーマとしてカヴァーされると聞いた時に、曲がりなりにもなんとか風化を乗り越えることができたのかなと、ひとり溜飲をさげました。

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収録曲解説①【Kiss & Ride】

本日より、4/23リリースの僕のベストアルバム『Swinger Song Writer』収録曲の各曲解説をしてみたいと思います。
1日1曲。全18曲で18日間、どうぞよろしくお付き合いください。



収録曲解説①【Kiss & Ride】
(from 4th Album『KISS & RIDE』)



2008年の4thアルバム『KISS & RIDE』のタイトルチューン。
モンドリアン風のワンピースをまとった柴咲コウさん、大泉洋さんが出演したグリコのガム「POs-Ca(ポスカ)」CM音楽に使用されました。

その数年後にKONAMIのアーケードゲーム「jubeat」シリーズにも使用され、図らずも僕のアーケードゲーム音楽デビューは、古巣ナムコではなくコナミによって果たされることとなりました。うーん、複雑な気分。

メインのコーラスパートは7パート合計21声を1人ダビング。まずは声だけでアカペラミックスを完成させてグリッチエフェクトをかけ、さらにそこから波形をカットアップしてフレーズを再構築する、という気の遠くなる作業で作成しました。

オリジナルアルバムバージョン発表当時は、僕がDJをやっていたこともあって、プレイ中にエフェクトなどを加えるためにあえて曲尺を長くしていましたが、僕の活動がDJからライヴに移行するうちに、次第にライヴに特化したアレンジに進化していきました。

今回のベスト盤を機に、曲尺も再構築しつつライヴでのピアノフレーズも新たに録音し直し、オリジナルからさらに進化させた「Kiss & Ride」として収録しました。この盤だけの最新バージョンをぜひご堪能ください。

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【ベストアルバム収録曲決定!】

4/23発売のベストアルバム『Swinger Song Writer』収録曲が決定しました!

CD収録時間限界ギリギリの全18曲。
ソロ名義前の楽曲から新曲まで、あまねく網羅しました。

泣く泣く収録を見送った楽曲も多数ありましたが、僕の10年の軌跡をたどることのできる選曲になりました。
新曲も自信作なのでお楽しみに!


【Swinger Song Writer – 10th Anniversary Best -】


(DISC 1 : CD)

01. Kiss and Ride
 from『KISS & RIDE』

02. Your Voice (sings with 土岐麻子)
 from『GIRLS & BOYS』

03. Countdown to the End of Time
 from『Rock’n'Roll Circus』

04. Café Bleu (Pour Un Oui Ou Pour Un Non) with Clementine
 from『JOY』

05. 冷たい情熱
 from『Lyrics』

06. Magic Colors
 from『Laughin’』

07. Girls & Boys
 from『GIRLS & BOYS』

08. The Sweetest Time
 from『KISS & RIDE』

09. On and On
 from『Rock’n'Roll Circus』

10. SEXY VOICE AND ROBO
 from『セクシーボイスアンドロボ』

11. Aguas de Agosto
 from『Aguas de Agosto E.P.』

12. 虹を見たかい
 from『Lyrics』

13. キミの笑顔
 from『歌うピアノ男子』

14. Chérie!
 from『JOY』

15. Black Screen
 from『Black Screen E.P.』

16. Love Wing
 from『Laughin’』

17. 北の国から
 from『GIRLS & BOYS』

18. 〇の∞(ゼロの無限)
 ※新曲


(DISC 2 : DVD)

01. On and On(Music Video)

02. Black Screen(Music Video)

03. 冷たい情熱(Music Video)

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【謹賀新年2014】

あけましておめでとうございます。

2013年は、僕の10周年イヤーのスタートということで、『Lyrics』『Big Band Back Beat (with イガバンBB』2枚のアルバムを発表しました。
6/23には、渋谷O-WESTで10周年記念イベントも開催させていただき、僕の音楽人生で最も大切な節目となりました。
さらに11/30には、BEAT COMMUNISTに代わる新イベント『Musical Museum』第1回を開催することができました。

応援してくれる皆さまのおかげと心から感謝しています。
本当にありがとうございます!

2014年も引き続き10周年の企画をいくつか立てているので、ぜひ楽しみにしていてくださいね。

本年もよろしくお願いいたします!

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