僕はマンガの趣味が他人とまったく合わないことで世界的に有名なのですが、それはひとえに「長編ものを読むとすぐに寝てしまい、起きるとストーリーを忘れている」という性格上の問題によるものなんです。だから僕がスンナリ最後まで読めたストーリーは、よほど面白いか、またはよほどの馬鹿でも分かるくらい単純かのどちらかです。
という事情もあって、僕が好きになるマンガには「1話読み切り」という条件がつきますが、それに加えて「料理マンガならなおのこと良い」という、マンガ家が聞いたら「お前に読ませるマンガなど無い!」と恫喝されそうな二次審査まであるんですよ。まあ、恫喝されるまでもなくそんな条件を満たしたマンガは本当に少ないので、あまり読めるマンガがないのですがね。
そんな「マンガ難民」の僕にとって、針の穴のような上記2条件を奇跡的に備え、オアシスのように光り輝くのが「美味しんぼ」です。2度ほど全巻揃えました。結局のところ置き場に困って2度ともブックオフに売っちゃいましたが。たぶんまた何かのキッカケで全巻揃えたくなるんだろうなあ。
何が好きって、そりゃあ決まってるでしょう。あの似たもの親子同士の超絶の味覚ですよ。どっちも料理をひとなめしただけで材料から産地から全て当ててしまうという超能力っぷり。ここまで来るとほぼエスパー漫画ですね。読んでて爽快ですらあります。
美味しんぼ
CDショップ
幸運にも好きな音楽を生業にすることができて早5年。これまでも色々な人たちに支えられて何とかここまで生きながらえていますが、僕がまだ経験していない事があるんです。それは「CDショップで僕のCDを買ってくれる人を見る」こと。皆さんも知っている通り、僕は人々から「ミスター内気」と呼ばれていて、世界一シャイな人間として来年度のギネスブックにも載る予定なので、自分のCDがお店に並んでるだけで挙動不審になってしまうんですね。
何年か前に「Aguas de Agosto」をリリースした時に、渋谷のCDショップで僕のCDのコーナーを「誰か買わねーかな」と物陰からじっと見ていたら、その僕をじっと見ている私服ガードマンと目が合って非常に気まずい思いをしました。
それ以来なかなか自分のCDのコーナーを凝視できなくなってしまいましたが、今度の「Laughin’」の発売の時にはぜひ一度見てみたいものです。
CDショップの物陰に潜んでいる僕を発見した時は、そっとしておいてあげて下さい。間違ってもガードマンに通報しないように。
パックマン
僕は小さい頃からとにかくゲームが好きでねぇ。まあ子供って言うのは大抵ゲームと下ネタは大好きなもので、僕もご多分に漏れずそんな感じの、いわゆる「そこら辺にいるフツーの汚いガキ」だった訳です。まあ今も「そこら辺にいるフツーの汚れたオトコ」なので、何年経っても大して成長してないなあ、と軽くヘコんでみたりしますが。何の話だっけ?あ、そうそう、ゲームね。すごく好きだったんですよ。
で、その中でも一番好きだったのが「パックマン」。好きになった理由は「近所で一番上手かったから」っていう、これまた何ともフツーのガキ丸出しな理由でした。好きなモノって、「好き」と自覚し始めるとそれによってさらに好きになったりするじゃないですか。僕も「上手い」→「誉められる」→「好きになる」→「お前パックマン好きだよね、と人から言われる」→「さらに好きになる」→「さらに上手くなる」みたいなパックマン・スパイラルにハマって、結局ものすごい上達ぶりと共に「パックマン命」みたいになったんですよ。しかも恥ずかしいほど短期間で。まったく子供なんて単純なもんだ。あ、今も大して変わってないんだった。
ガリガリ君コーラ味
昨年夏から今までに、見事17kg減量を達成した「ダイエット勝ち組」であるこのワタクシが今もっとも恐れていることは、その後油断しきって「リバウンド勝ち組」にならないようにすることです。
もともと僕はどちらかというと音楽の才能よりもデブになる才能の方が高いので、2ヶ月もあればすっかり元に戻ることだって可能なんです。エッヘン。
で、どんなダイエットをしたかと言うと、どうせ短期間で10kg以上痩せること自体が健康的である訳ないし、だったらとことん不健康にやってやろうという根本的に間違った考え方のもとに「ガリガリ君コーラ味しか食べないダイエット」を敢行しました。コーラ味に深い意味は無いけどね、単に好きだってだけで。
しかもこの食生活を続けつつ、真夏の炎天下に1時間ジョギングをするんですよ。これは効いた!2ヶ月で13kgまでストーンと落ちましたね。まあ途中で2回ほど熱中症でぶっ倒れましたが。順調に不健康になりつつも、体重もコンスタントに落ちて喜んでいると、何と予想し得ない事態が!何と「ガリガリ君コーラ味」は夏季限定商品だったのです。ショック!しかもそこに追い討ちをかけるように、、、すっかり虫歯になりました。どうする、オレ!?
Common / Be
鼻タレ時分の小さい頃から、ジャケットが黒人の横顔のCDを見つけると、試聴もせずにそのままジャケ買いしてしまうという悪いクセがありまして。近頃はインターネットで買い物が出来る便利な時代になったので、さらにジャケ買いが止まらなくて仕方ありません。しかも大抵ハズレが無いので、僕の中ではすでに「黒人の横顔ジャケCDは中身が良い」という強固な理論が確立されてます。僕もLaughin’ジャケで顔を黒く塗って横向こうかなと思いましたが、ラッツ&スターの新作と思われるのが関の山なのでやめました。
Kanye Westはまさにその法則を知ってやがりまして、自分名義のCDは訳の分からない被りモノを被っているくせに、いざ他のアーティストをプロデュースする時は「横顔でも撮っておけ」とスタッフに言っているに違いありません。
という訳で僕が好きな「黒人横顔ジャケの法則」シリーズ、1枚目はCommon『Be』。タイトルが「Be」だけあって、まさに原点回帰。前作では時代の要請もあって細か過ぎる打ち込みやギミックばかりだったけれど、今回はバッチリsoul & Hip Hop。特に1曲目「intro」は本当にヤバい。Laughin’作ってる時に一番よく聴いてたアルバムかも。
Apple Macintosh SE30
今でこそカッコつけて打ち込みで音楽とか作っちゃってますが、もともと音楽業界で最初にもらった仕事の時はパソコンさえ持ってなかったんです。QYPTHONEも元々は生演奏のバンドだったし。
その頃お手伝いしていた他のバンドの人の家に遊びに行った時にMacintoshがあって、音楽ソフトを立ち上げてマウスをクリックしながらブレイクビーツとか簡単に作っちゃってるんですよ。超うらやましいので「ドラえもんドラえも~ん!」と走って家に帰りました。家にいたのはドラえもん体型の母親でしたが。どら焼きでなく大福食べてました。
そんな話をナムコの先輩にしてみたら「オレの古いマック、いらないから売ってやるよ」と何とも温かい言葉!世間知らずで青っぱな垂らした僕ちんは、しっかり者の先輩から中古のマックと音楽ソフトのセットをなぜか新品の定価で売ってもらいました。マックとともに世間も学んだ瞬間だったな。
そんなこんなで手に入れた最初のマックがSE30とPerformer 4.0。可愛くて思い入れたっぷりで手放せません。何せ新品価格でしたから(くどい)。今度秋葉原で中身をG4に改造してもらおうかな。
Dinner Rush / Bob Giraldi
僕の主宰するバンドQYPTHONEは今でこそ海外10ヶ国くらいライブで行ったりしてますが、初めて行った海外ツアーではみんな浮かれて浮かれて。僕なんかずっと地上から5cmほど浮いてましたよ、ドラえもんみたいに。最初に行ったのはNYだったのですが全員もう完全に「おのぼりさん」状態。日本人がカメラ持ってぼぉーっと突っ立ってるという典型的なポーズとかも平気で披露してましたね。しかもメンバー全員で。
その「おのぼりさん状態」は海外ツアー初体験だったからなのかと思いきや、それから色々と各国を回ってみて「それはNYだったから」ということが分かりました。ぶっちゃけ東京って、世界的に見ても大都会中の大都会だから、どこに行っても「まあ東京にはかなわねーな」とか、心のどこかで優越感もあるわけです(横浜在住のお前が何言ってんの?とか言わないように)。Cherie!の歌録音で行ったパリも華やかだったけど、東京も全然負けてないし。
でもなぜかNYだけは空気が別格なんですよね。街の持つ威圧感が段違い。人間の歩幅も顔つきも服装も活気も、すべての面で東京よりも洗練されてる。NYから見れば東京なんて単なる「ちょっとした地方都市」なんですよね。悔しいけど。同時にやっぱり羨望や憧憬もあったりして。
僕の思うそんな「NYへの憧憬」がそのまま映画になったようなのがこの「Dinner Rush」。舞台、登場人物、ストーリー、アートワーク、音楽、全部が僕にとってド真ん中ストライク。ムカつくけどカッコイイ。カッコイイけどムカつく。一番好きで一番嫌いな映画ですよ、フン。